
スポーツ体罰の問題はなぜなくならない?
Dec 01, 2019最近テレビやネット上で話題になっている指導者による体罰問題について考えてみたいと思います。
実は僕がサッカーコーチのコーチをやろうと決めたのも、その当時のサッカー部コーチによる体罰の動画がTwitterで出回ったこともきっかけになっています。
なんで!こんなことをしてしまうの!!あり得ない!!
というのが当たり前の心情ですが、それでもなくならないのはなぜなのか?
周りの保護者も容認する人がいるのはなぜなのか?心理面から考えてみました。
こんな考えられないことも実際に起こっていたり
小学生バレーボール体罰 一部の保護者、口止め誓約書を配布 「情報漏らした」と正座させ詰問も | 毎日新聞
全国大会に出場した大分県日出町の小学生女子バレーボールチームで発覚した男性監督の体罰問題。監督が女児を平手打ちしたにもかかわらず、県小学生バレーボール連盟(県小連)は、被害女児やその保護者に聴取せずに「体罰なし」と認定した。一方で、一部の保護者は7月、体罰の事実を外部に漏らさないよう保護者全員に誓...
Twitterでこの動画も出回り、あっという間にどこの高校の誰かまで特定されました。
動画の中で何度も言っていますが、体罰や暴言を肯定するつもりは全くありません。
ただ、それを禁止したり、例えば罰したとしてもなくなることはないんです。
それは暴言、体罰をやってしまう心の奥底にある心理について深掘りしていかないと解決策は出てこないと思っています。
●体罰の問題について
今回はちょっと最近あんまり良い話題じゃないですけど、スポーツにおける体罰とか暴言っていうことについて、お話したいなと思います。
それは体罰とか暴言を肯定してるんじゃなくて、そういうことをしてしまう奥底にある心理ってなんなのかという話をしたいなと思います。
そもそも本当にサッカーを愛してて、コーチとして生きていて、一生懸命選手のためにっていうことの中で、それこそ蹴り入れてひっぱたいたみたいな映像が出たりとか、パワハラがあったりとかっていうことが今問題になっていますね。
●スペインには体罰ある?
僕の感覚的にっていうか個人的な経験でいくと、スペインで万が一それをやったら100%訴えられます。もしくは、その仮に選手にそういうことをしてしまったら、その親から多分10倍返しぐらいでやられます。
もちろんそんなことはスペイン一切ないですけど、万が一そんなことがあったら100%やられます。コーチとして絶対に許されないことです。
やっている本人たちも暴力まではいかないにしても、すごいきつく子どもに言っちゃったなとかあると思うんです。つまり自覚はある。
脳に与える影響
科学的にも暴言が脳に与える影響というのが立証されています。
でもそれってどういう心理から来てるのかというのと、では、どう考えたらいいのかっていうことをお話させてください。
コーチングのスキルを使って考える
これはコーチングのチャンキングっていう話になります。
もう一回言いますが、僕自身が暴言を肯定してるわけじゃないですからね。
絶対駄目なんですけど、ただ、じゃあそれをルール上禁止にしましょうとか、こういうことをやるコーチ訴えましょうとか、Twitterであげて晒しましょうとかってやっても、その人自身が変化起きなかったりするんですね。結局根本的な問題解決しないなということをちょっと思っています。
自分の子どもに対してとかだったら結構やったりします。暴言というか文句というか、厳しく言っちゃうとか。
それはなんのためなのかなと言うと、「間違ってることを正したい」という思いがあります。
例えばですよ。ありますよね。間違い正す。それによって、正すことによって、なにを得てるんですかと質問をしますね。それは自分自身にしてもいいです。そうすると、間違い正したいとなぜ思うかというと、それをできることによって良いプレーができる。例えばですよ。出て来たとしますね。
良いプレーするのはしてほしいとか思うのは、それによってなにが得られますか?
なんのためですかって、これ掘り下げるんじゃなくて掘り上げていくんですけど、そうすると、選手を良くする。パフォーマンスアップですよね。または、チームを強くしたいっていう大元の根本にある思いは多分どちらかか両方なんですよ。
選手を良くしたいか、もしくはチームをもっと強くしたいと。だけど自分の思う通りにいかなかったりするからイライラしたりするわけですね。これもまた、もう一回言いますけど、暴言とか暴力を肯定してるわけじゃないですからね。それが生まれてくる心理をちょっと探ってます。大元はこれです。
要するに選手をよくしたい、チームを強くしたいという意欲がすごい強いんですよ。
裏にあるのは意欲!
今はなぜかそれを良くするための方法として、厳しくすること暴言、体罰という方法をとってしまっている。でもこれは良くないねっていうのは薄々わかってる。心の中でわかってるんだけど、ついついイライラしちゃうとか、ついついこういう場面だったら、ついついこの子を見たらっていうのは、全部この意欲がめっちゃ強いからですよ。この意欲が強くなかったらどうでもいいんですよ。
別に勝たなくてもいいし、負けて悔しいとそんな思わないし、選手がうまくやってないな。要は思ったようにプレーしてないなっていうのにもイライラしないんですよ。別にどうでもいいから。ここはわかりますか?
なのでこの意欲が強ければ強いほどイライラしちゃうんです。例えば、うまくいかないと。じゃあこれ選んでいいんですかってなると違うから、そもそも思い出すんですよ。目的は結局意欲ってことはこれ目的ですよね。チームを強くしたい。個人を伸ばしたいっていうのがそもそもの目的だっていうことを思い出してください。そもそも選手、チームをよくしたいということをやりたいわけです。

Coach Giving Team Talk To Elementary School Soccer Team
じゃあ暴言吐くとか、例えば暴力振るっちゃうとか、理不尽なことをさせること以外でこれを達成できることってほかにありませんかと考えます。
目的はこれだと思い出してください。意欲がなかったらそんなにイライラしません。例えば、私はスペイン語しゃべりますけど、もし皆さんが次回までにスペイン語レベルアップしなかったら駄目ですよとか、
僕が「みんなスペイン語しゃべれない。大したことないですね」ともし言ったとしても、「で何?」となりませんか? 別にそこに意欲がないからですよ。それを良くしたいとかそんなに思わないからです。
目的を思い出すこと
目的に戻りますね。目的は選手を良くすること。チームを強くしたいから、その意欲があるから、できないときにイライラします。ってなったときに、この意欲を達成すると、もしくはこの意欲がありますっていうことを認めます。目的達成するために、暴言吐くとか理不尽なことさせる以外にほかの方法ありませんかっていうのでぜひ考えてほしいんです。なぜなら忘れちゃってるからです。暴言吐くのが目的になってるわけじゃないし、暴力振るうのが目的じゃなくて、言ってるわけです。コメントで。選手を精神的に強くしたいとか。
それ以外の方法を考える
でもそのやり方ではなりませんよ。したい思いは強い。しかし、それ以外のやり方ありませんかっていうときに、いつもこれを取ってるわけです。いつも。
毎回そう。そうじゃなくて、それを達成、例えばいいんです。精神的に強くするために暴言吐くとか体罰するとか以外でほかに方法ありませんか。ほかの方法。もし選ぶとしたらなにがありますか。ほかの方法です。ほかの方法。それはなんでもいいんですよ。座禅組みにいくとか、富士山みんなで登るとか、要するにこれ以外の方法、ほかにありませんかとアイデア出さなきゃいけないわけです。
このアイデアは別に考えてくれればいいんですけど、答えは僕出すっていうのもおかしいので。考え方としては、まずこれを思い出します。目的を思い出してください。なんで?。なにしたかったんだっけ?どうしたかった?
では、それを達成するために今やってること以外でほかにありませんか?といくつか出してみればいいんです。それを例えばやってみる。それがうまくいったかいかなかったか検証すると。仮にうまくいかなかったとしても落ち込んだりするかもしれないし、イライラまたするかもしれないですけど、もう一回思い出してください。意欲が強いからイライラするんだな。ここから具体的にどうするのって掘り下げていくんですけど、こういう考え方をしないと、これ駄目だ、これ駄目だ、確かにそうなんですよ。でもどうやったら直すかっていうところに行かないわけです。
●タバコの例
もしくは、これ暴言とか体罰だとかって結構強い感じですけど、仮にタバコだとしましょう。僕はタバコ吸わないですけど、タバコを吸うことによってなにを得てるんですかってもし考えたら、そうだなと、一人になる時間がある。確かにそうだと。しかもタバコ吸ってる人はみんなわかってますからね、自分の体に悪いって。
だけどやめれないというときに、タバコ吸うことによるメリットってなんだって考えたら、例えば一人になる時間があると。一人になったらなにがメリットがいいんですかっていうと、考える時間がある。
最終的にはリラックスするためだって、もしですよ。これ人によりますけど、それによってなにが得られますかって質問してったらリラックスするためだって出て来たとしますね。
そうすると、リラックスするためにタバコ以外の方法はほかにありませんかっていう話になるわけです。そうすると、これを全否定するんじゃなくて、ここを思い出せば、根本にある思いなんで、これを達成するためになにができるのかな。じゃあリラックスするためになにをしようか。例えばアロマをたこうかなとか、マッサージに行こうかな。水を多く飲もうかな。これはなんでもいいんですけど、ほかの方法でリラックスを達成できる方法を考えましょうねという考え方と同じだと思ってください。

Football coach gives directions to the player.
繰り返しになりますが、もし自分でやる場合は、それによってなにが得られるんだろうと、聞いていくことによって、抽象度を上げていきます。これは三回か四回、人によってどこまでいくかわかりませんが、もうこれ以上出てこないかなっていう答えが本当に思ってる根本の思いだったりします。それをまず思い出します。
目的ですよね。これってなんのためだったんだっけ。これが得たいからしてたんだなっていうことがわかりました。意欲も認めます。ああそうかと。選手本当に良くしたいっていう意欲が強くあるんだな。だからときどき厳しく言っちゃうんだな。でも今のやり方じゃまずいから、ほかのやり方でこの目的、選手を良くするとかチームを強くするっていう目的を達成する、ほかのやれることってないかなっていうふうにぜひ考えてみてください。
●まとめ
いかがでしょうか。これですぐ解決できるとかそういうものではないですけど、そもそもその行為自体は駄目。もちろん駄目だってわかりますけど、なぜやってしまうのかっていうことを解析しなかったら、実は問題としては消えません。
このブログを見るようなコーチたちは、もしかしたらそんなことやるなんてありえないという人ばっかりだと思いますが、もし周りについついやっちゃうんですっていう人がいたら、ぜひこういう話をしてあげるか、もしくは質問してこの思いをちゃんと引きだしてあげてください。そうすると変わる可能性あります。
これは親御さんでもできることです。子どもに対してなんかやらないとか、嫌な行動をしてるとしたら、変化させたいんだから、これを否定しても結局変わらないので、そもそも根本の思いってなにっていうことから思い出して、これは意欲があるんだなっていうことも思い出し、別の方法なんかありませんかというふうな出し方をします。これをチャンティングって言います。これはコーチングの手法です。
また今度は保護者の皆さんに向けて、親御さんがサッカーやってる自分の息子だったり、娘に対してどうアプローチしてったらいいかという話はまたしていきたいなと思います。
以上です。ありがとうございました!
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