
4ゴールゲーム導入の難しさ ドイツのサッカー育成改革の話 part3
Nov 26, 2019
サッカーの本質、構造に子どもを合わせるべきか?
それとも子どもの成長、発育段階にサッカーを合わせるべきか?
ドイツでコーディネーターを受けてくださった中野さんと一緒に4ゴールゲームを観戦してきた時の様子です。
サッカー大国ドイツが真剣にサッカーの未来について考え、構造を変えようとしている。このままでは差は縮まるばかりか、引き離されてしまうかもしれない。そんな危機感を抱いています。
10月25日〜31日まで家族4人でドイツとオランダに行ってきた時の話です。
旅行の目的の1つは
ドイツで導入が決まった4ゴールゲームの実情を調べる、見ること。
ミッテルライン州の育成責任者オリバーさんに4ゴールゲーム(ドイツではフニーニョと呼ばれています)について話をご紹介します。
ドイツで始まっている幼児、小学低学年での育成改革
オリバーさんの話 part3 です。
倉本:説明というか、そういうのは全部知ってたけど、でもどうやって実際やってるか。質問はさっきのところですね。一個はまずなぜこのタイミングでこれを取り入れようと思ったのかっていうそのきっかけと、それをじゃあ実際に指導者たちに普及させるのに、どういう考えでやられてるかっていうこと。
オリバーさん:まず思うのが、ドイツというのはサッカーというのは長い歴史のスポーツであって、だからこそ人気もあるし、だからこそ変えるのにどうしても時間がかかってしまうので、もしなにか新しいもの始めるのであれば、本当につめにつめて、確信を持って、確証を持って、これをやるとこうなるんですよってとこまでやらないと。
やっぱり一歩を踏み出すのは難しいっていうのが一つあげられることで、今言った幼稚園であったり小学校低学年、サッカーで指導者としてどういう人かっていうと、最も研修を受けたりとかライセンスを取ったりする指導者と遠い人たちなんです。
やっぱりそのお父さんコーチが、パッとコーチをやったり、サッカーが好きな人はパッとやって、じゃあ彼らが見ているサッカー、基準のサッカーってどこかっていうと、このプレーで間違いなくブンデスリーガなんです。普段自分たちがブンデスリーガというところを基準にサッカーを持ってくる。
11対11、それを自分たちが子どもたちとやってるっていう感覚を持ってる人たちとやってるわけだから、その人たちに対して、じゃあこの子たちが何年後どうなるんやっていっても、なかなか同じ会話ができない。
だから1年、3年後、例えばあの時自分が良い仕事していて、未来に対するアプローチをするためには、じゃあこれがどういった意味があって、こういった成長が見込めて、将来的にこうなるんですよっていう筋道をちゃんと立ててあげないと、そもそもおろしていくことができないので、それを自分たちがずっと積み重ねてきて、やってきたときに、こういった成果出すことができたっていう。
倉本:ようやくこのタイミングで来たっていう。前からそれは問題だっていうことはわかっていたということですね。
オリバーさん:問題はずっと前からあるんですけど、じゃあそれを例えば小学校の高学年は9人制にしようって7人制にして、ある州ではそれを5人制にしたりとか少人数サッカーで推奨してるけど、なかなか広まらない。どんどんそうやって検証してデータを出して、こういうふうな問題点があってって出すことで、少しずつ研究のしやすい状況を作って出せたのが、やっと今この段階です。
時間かかってるし、やっぱりこういったのを出したとしての、じゃあなんでこんなものサッカーじゃないって言う人もどうしてもおると。正しい本物のサッカーをしよう。お互い、7対7がサッカーだっていう人はたくさんいるわけです。
それに対して自分たちはどんどん働きかけをして証明っていうものを出していかなきゃいけない。そういった仕事を今自分たちで取り組まなきゃいけないんです。
倉本:大変なことですね。
オリバーさん:まず第一には、自分たちのほうから働きかけをしていく。自分たちもやってるんですけど、そういった指導者に対して、短期の講習とかやって、今こうやって見てもらったような、メリット・デメリットをちゃんと出して、っていうふうに、見たらやっぱり7対7の悪い点というか、あってない点どんどん見えてくるので、じゃあ変えようかなって思う人もどんどん増えてくる。そういったところをどんどんやっていって、実際にやってもらって、メリットの面を感じてもらうっていうのはこれからどんどんやっていかなきゃいけない仕事です。
あともう一つ、そういったところでプラスに出てくると思うのが、まあ、1年か2年かわかんないんですけども、今はまだ、今のは推奨という形で、それは州とか地域に任せてますけども、完全にじゃあこの3対3、フニーニョをやりますって決めて、大会をして試合をしてもらってるっていうふうになってくると、今じゃあ例えば7対7やってるチームって、週末の試合に向けてトレーニングするので、トレーニングも7対7になるんです。
そこに向けて。でもそうすると、トレーニングでも関われない子がどんどん出てくるし。でも3対3が試合の形式だったら、練習も3対3に合わせる。練習における状況だったりとか、子どもたちが楽しめるところも良くなってくる。そこもやっぱり実感したというか、プラスに感じてもらえるようなことが、やっぱり、いわゆる経験がなかったり、育成に対して我慢できない人って、一番やっぱり証明になってくるんじゃないかなというふうに考えてます。
倉本:わかりました。まあ、取り入れての今後の課題をどう考えてるかっていうこと。今までやってきて一番大変だったこと。もう実際に推奨ってかやりだしてて、そもそも一番大変な、それは別にフニーニョをやり出してっていうよりは、子どものサッカーどう考えるかっていうとこで一番大変だって、要するに僕らが日本でいつかやってみたいってときに対して、先にやってる先輩としてのアドバイスを頂けますか?
オリバーさん:一番難しいスカウトなんですけど、一番難しいのは、先ほどのお話と、指導者への普及させる講習会の数だったり。あともう一つやっぱりあげられるのは、オーガナイズがより困難っていうか、やることが増えてくる。やっぱり今まではホーム側がゴールを設置してあって、あとはそれでやるだけだったけど、
フニーニョになると相手チームが何人でってこっちはしったことじゃないけど、でも例えば何チーム来たときに、それぞれ何人来るかがわかんないんで、何チーム登録してってのがわからないので、これをじゃあどういうふうに改善していくか。
今まだできあがってないけども、例えばそれを簡単な操作でできるアプリがあって、こっちのチーム、今週末何人できますっていうふうにやったら、簡単にできるだろうし、あとはじゃあミニゴールがより必要になってくるので、これ金銭面でどうするんだっていう、じゃあ開催するクラブがじゃあなんだ、12個、16個とかゴールを持ってなきゃいけないのかとかは難しいので、例えばケルンのサッカー、ケルン地域のサッカー協会のところでやられてるのは、そういったフニーニョをやってあげるときは、各チームが4つミニゴールを持って集まることで、1クラブが全部持つんじゃなくて、それぞれがじゃあ4つ準備をしてやるっていうふうにしたら、少しは負担が減るのかなと思って、でも、マーカー置いてシュートゾーン図ってっていうふうになると、今までよりもコースセッティングに時間かかる。
何のためにフニーニョをやるのか、どういう意味があるのかという証明であったりとか、これ本当に子どものためになるんですよって思いを持ってアプローチをやっていきますが、やっぱりいっても大変。
倉本:労力は増える。確かに。
オリバーさん:労力は増える。でもそれに見合う価値っていうものも、やっぱり自分たちも出していかないといけないし、やったら絶対プラスになるっていうのがあるはずだという。
倉本:なるほど。僕ら、日本として取り入れる場合、アドバイスっていうか、先輩としてのアドバイス。こういうふうなことをもしかしたら考えたほうがいいかもよみたいなのもあれば。
倉本:それ、2年後にこうなったよとか、話したいですね。
こうしたらいいよっていうふうになったらいいんだっていうふうに思って、自分たちにっていうのも、やっぱり、幼稚園児のスポーツテストっていうのも試験的に導入してとりあえず一回にって思ってやったけども、まだやっぱりそれを浸透することはできてない。
いろんなやっぱり証拠だったりとか、衝突とぶつかりながら、自分たちも取り組んで、ベストの解決策というのを見つけたいけど、使ったらどうかっていうのはわからないし、一個一個やっぱり信念持って取り組んでいくっていうことが大事なんじゃないかなと思うし、それこそ日本のほうが良くなってアドバイスしてくれるようになったらいいと思う。
倉本:(笑)。僕が先に取り入れます。…真剣に考えてるな。子どもを真剣に考えてる感じが、サッカーを指示するどうだこうだって取り組むっていうよりは、子どもの成長をどうなんだっていう、それはすごい感動します。ちょっとその視点がやっぱりないな。
オリバーさん:この子まずそもそもこうだからっていうところが。
倉本:そうそう。どういう成長過程とか、どういうのが段階としては適切なのかとか、そのためにはどういうステップでとかっていうのが、まず最初にあるから、サッカーそのものの構造がどうのこうのじゃないよって、もちろん最後はつながっていくっていうのはあるけど。
オリバーさん:今日の話からなんかいいものを持って帰ってもらったら。この後オランダにいくんですね。またさらにオランダにいて、いろんなまたものを見て、今後に向けて幸運と頑張ってくださいということです。
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